多くの人にとって「一生に一度」の買い物となるマイホーム。
人口減や少子高齢化が進む中で、新築住宅着工戸数は漸減。空き家もどんどん増えていっているため、
家をつくるさまざまな技術を持つ職人の数が、どんどん減っています。
左官職人で言えば、1990年には約20万人だったのが、国勢調査が行われた2005年には約12.4万人まで減少。
さらに、2020年には5万人ほどになってしまうのではないかともいわれています。
一方、こうした逆境の中で左官職人の技術が再び注目を浴びており
なぜまた注目を浴びているのか、塗壁の魅力を皆さまにお伝えできればと思います。
▶︎塗り壁人気の秘密は“機能性”
左官とは、コテを使って壁や床などを塗り上げる職業で、家の「塗り壁」などを手掛ける職人です。
その歴史は古く、縄文時代にまでさかのぼるとされています。
現在、家の内装のほとんどはビニールの壁紙などが主流にあっており、
その理由として、安価で工事も簡単なビニールクロスが求められる傾向にあるからです。
塗り壁はいつしか日本人の生活の中で、身近な存在ではなくなってしまいました。
ところが、ここ最近塗り壁の機能性に注目を集めています。
塗る素材によって効果の違いはあるものの、最大の特徴は室内の湿度を調節してくれることです。
湿度の高い夏。塗り壁は部屋の湿気を吸ってくれ、湿度が下がり涼しく快適に感じられる。
逆に、乾燥している冬は塗り壁の中に含まれている水分が放出されるので、湿度を保ち快適に過ごすことができます。
実際に、大浴場の脱衣場の壁と天井を塗り壁にしたところ、
常時80%以上あった湿度が、1カ月で50%以下に下がったという実験結果があります。
ビニールクロスは安く、扱い易いため普及しているが、実は水に弱いため、カビが生え易いという欠点があります。
塗り壁に使われる素材のひとつである珪藻土の壁は湿気を吸収するだけでなく、
身体に悪いと言われているホルムアルデヒドまで吸着してくれます。
このように様々な機能や効果があるからこそ、日本の建築の長い歴史の中で塗り壁は愛されて続けてきたのですね。
▶︎豊富なデザイン
自然素材で身体に優しいだけでなく、柔らかい雰囲気を持つ塗り壁。
左官職人が手掛ける塗り壁はデザイン性の高さから、若い世代を中心に人気を集めているのです。
実は塗り壁のデザインは数十種類もあるので、
ここ数年、若い世代を中心に塗り壁が人気を集めているのは、このような職人の技によって
壁紙には無い自分の好きなデザインを作ってもらえるからだと思います。
▶︎塗り壁にすると効果的な場所とは
一面だけ塗り壁にするだけで効果得られます。
材料や職人、パターンなど状況によって費用は変わってきますが、
目安としては、リビングの壁一面だと職人の人件費と材料費でだいたい7万~8万円ほどです。
そのほかにも、塗り壁には消臭効果もあるので
塗り壁の効果的な場所として挙げられるのが、トイレの壁です。
自宅のニオイの気になる場所を塗り壁に変えてみることも、ひとつの手ですね。
家族がずっと暮らしていく大切な家だからこそ、絶対に失敗はしたくない家選びや自宅の改装。
こだわりの家を建てたい、こだわりの家に改装したい
そのポイントの一つとして壁に注目してみてはいかがでしょうか。