塗装屋さんの仕事の相棒が刷毛なら、左官屋さんはコテです。
モルタル・壁土などの材料をコテに乗せ、自由自在に動かしながら美しく壁を塗っていくのです。
大昔からある職業、お城や寺院などもずっと左官屋さんによって仕上げられてきたのです。
ただ貼るだけの壁紙が生まれたことでその数は減って行ったものの、
漆喰・珪藻土といった自然素材で作られた家の良さが見直される中で、
現在また左官屋さんのお仕事にも注目が集まっています。
▶︎下地作り
アイロンのような独特な形状のコテで模様を付けたり滑らかに塗っていったり、
壁の表面を塗っていく仕上げのイメージが強いかもしれませんが
実はその前段階である下地作りも左官業のお仕事です。
むしろこちらの方がメインかもしれません。
土壁とか漆喰を塗らずペンキやタイル貼りをすると
ガタガタの上に処理を施してもすぐに剥がれてボロボロになるだけです。
仕上げを活かすためには左官屋さんの腕が重要です。
美しく仕上げていても年月を重ねていく中でどうしてもほころびは出てきます。
▶︎補修作業
補修作業もおこなわれます。
そしてこれも左官屋さんのお仕事となります。
特に太陽の光や風雨を受けることで劣化の激しい外壁の補修方法について見ていきます。
上からシーリングで割れている箇所を埋めても
太いひび割れだと取りあえずの間に合わせにしかならず、
またあっという間に似たような症状が出てくるでしょう。
ですからここでは、外壁下地補修Uカット充てん工法というのが使われます。
ひび割れた部分をUカットすることでひび割れ自体を無くしてしまうのです。
こうすれば更にひびが広がっていくことはありません。
電動工具でひび割れ箇所を除去しほこりやゴミを取り除きプライマーを塗布、
モルタルとシーリングをきちんと密着させるために必要となる作業です。
外壁表面よりも2ミリ程度少な目にシーリングを打ち、樹脂モルタル充てんをします。
厚く塗りすぎると膨らみ補修箇所が丸わかりに、
2ミリの溝を埋める左官補修は技術が必要となります。
更に目立たせないよう元からある外壁の模様に合わせて補修吹きをし、これで完成です。
ひび割れた箇所が細ければまた違った方法で補修がなされることとなります。
損傷を受けていた部分がどこなのか全くわからなくする、
何十年も先にならなければ似たような症状が出てこない、
それこそが上手な左官補修というわけです。
どの工程も技術と経験が必要、左官屋さんのお仕事はまさに職人技ということです。